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2018年11月19日

心理的ストレスが抑うつ状態を誘導するメカニズムがわかってきました

うつ病などの精神疾患は、遺伝素因とともに、環境要因、特に、社会的・心理的ストレスが発症の引き金になります。京都大学の研究者らは、うつ病のマウスを用いて、反復的なストレスが抑うつ状態を誘導するメカニズムを調べました。その結果、このストレスが脳内(内側前頭前皮質)の炎症担当細胞を活性化し、炎症を促進するタンパク質(サイトカイン)を発現させ、そこにある神経細胞の応答を弱めたり萎縮させて、新しいマウスとの関わりを避ける社会忌避行動などのうつ様行動を誘導することを発見しました。炎症を促進するタンパク質を中和する抗体を投与したところ、こうしたうつ様行動は抑制されました。今回の研究は、普通、細菌やウイルスによって引き起こされる炎症が、心理的ストレスによって脳内で引き起こされ、それが社会忌避反応といううつ状態へと導くことを示しました。この発見は、今後の精神疾患の理解と新規治療の開発につながることが期待されています。この研究結果はNeuron誌で報告されました。

(2018年8月)

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