入浴
入浴は最も心配が絶えず、事故も多く起こる生活場面です。湯に沈んで溺れることと浴室内で転倒することを避けることに主眼をおきます。
シャワーの多用
沈溺は防げるが立っていると転倒にはかえって危険を伴うこともあり、座るのがよい
風呂場マットを床面のみならず側にも敷く
介護用シャワーチェアに座らせる
湯船の湯は少なく
顔が湯につからないよう注意する
つかる際は、湯栓の上に座らないよう心がける
体温上昇が発作の誘因となる場合があるから長湯は避ける
沈溺防止に、きつめの浮輪を使って湯につかる
換気しつつ入浴
特に湯につかった時、換気に注意する
冬は脱衣場を暖かくしておく
暖房はエアコンもしくは安全なセラミックヒーターを使う
見守り
一緒に入る
湯につかっている間、介助者は自分の洗髪をしない
入れない場合は声掛けなどで確認を怠らない
発作時の対応
発作!→ためらわずに湯栓を抜く
発作時は発作が終息するまで動かさない
発作終息後にタオルで身体を拭く
移動は大判のタオルを使いハンモック状態で移動
介助者が2人であればタオルの両端を持つ
1人の時はタオルにくるんで乗せたまま床を移動
パジャマなどは布団に移動してから着せる
食事
食事時の発作も多いため、油断はできません。本人のみならず介助者や同席者にもヤケドやケガが及ぶ可能性があるので要注意です。
食卓上
強直発作など食卓上をなぎ倒す場合があるから卓上に注意する
脱力発作はいきなりうつぶせに倒れるから、眼前のものに注意する
熱いものやガラス食器など危険なものを避ける
ホットプレートや卓上コンロを卓上に置く場合、置く位置を吟味する
ナイフ・フォークも発作タイプによって使用を勘案する
キャスター付椅子
きちんと着座していれば発作時の転落が防げる
誤飲
発作終息後に口中の食物を掻き出す
室温
体温上昇が発作の誘因となる場合があるから室内は暑くならぬよう注意する
就寝・覚醒時
寝入りばなと明け方に発作の好発時間帯があります。横たわった状態で発作が起こるため、うつぶせや枕での窒息に注意すれば、比較的安全な発作環境です。疲労のため介助者が熟睡し、朝まで気づかないこともあります。睡眠を整えることは一日の生活リズムを整えることから始まります。今日の疲れを明日に持ち越さないことが理想です。
布団と枕
ベッドは転落の危険性があるため、畳の上での布団を推奨
枕は顔が埋まるような大きく柔らかいものを避け、硬めのタイプを推奨
明け方は失禁が多いため、市販のおねしょシートをシーツの下に敷いておく
パジャマ
着替えのパジャマとタオルを一組、枕元に揃えておく
失禁が多い方は、介護用パンツを活用する
見守り
寝入りばなは寝息を確認してから介助者も睡眠をとる
気配を察知できるよう、同室でできるだけ傍に寝る
寝室
寝室には家具などをなるべく置かない
できれば、家事などの際、寝ている様子が見える位置に寝室を配置する
寝室のエアコンなどは温度調節を24℃くらいの低めに設定する
外出
日々の生活にアクセントをつけるため、可能なかぎり外出させたいものです。でも発作がどこで起こるかわからない不安と背中合わせです。介助者がいれば恐れずに外へと出かけましょう。いろいろなものに触れさせてあげたいですね。
持ち物
頓服は忘れないように。1回分の薬も念のために携行を
着替えとタオルを一組持っていれば、失禁でも安心
外出介護
歩道は介助者が車道側を歩く
過剰な刺激は発作誘因ともなるので注意する
信号待ちは少なくとも一身長分は下がって待つ
トイレを、特に身障者用トイレがあればできるだけ用を足すよう促す
ホームで電車を待つ場合、白線以内には絶対に入らない
発作の際は、ひとまず安全な場所へ移動させて、終息を待つ
エスカレータは転落しないよう十分な配慮をする
階段は昇りより下りが危険、介助者も転落する危険性がある
出典:「てんかんと重度・重複の障害がある人が生きていくために」第3部 59 ページより
「波」 第 32 巻第 9 号 2008 年 9 月、日本てんかん協会の許可を得て掲載